カツオと樋口一葉
水族館に行きたい一家。支度をして玄関に向かうが、タイミング悪く客が来てしまう。ちなみにこのシーンの玄関を映すアングルがいつもと逆で、見ていて何とも不安になってしまった。どういう意図が込められているのか、真相は定かではない。
前もって連絡もなく来た客に、カツオやサザエはぶち切れ。
「連絡もなく来るなんて非常識だ」
と怒りをあらわにするカツオだったが、お小遣いをもらって機嫌を直す。ワカメは３０００円、カツオは５０００円も貰ったと言うのだ。小学生にとっての５０００円は大金である。なんと、タラオでさえも１０００円貰ったらしい。未就学児がそんな大金を手にしてはいけない。何をしでかすか分からない。
こんな大金、いつもなら大人達が預かるところだったが、ここでカツオは
「あの人だって預けさせるためにお小遣いを渡したんじゃない」
と主張。波平からの許可も頂戴し、５０００円はカツオが自由に使えることになった。
話題は５０００円札に描かれた肖像画の話へ。なんと、カツオもワカメも樋口一葉について知らない。小学生ならそんなもんか、と思うが、ワカメまで知らないというのは少々ショックである。
樋口一葉の名前をサザエから教えて貰う２人だったが、ここで新情報。樋口一葉の顔は早川に少し似ているらしい。ワカメは否定するが、カツオの方が早川と長い時間を過ごしているはずである。この場合ワカメの意見は無視して良かろう。
布団に入りながら５０００円札を眺めるカツオ。
「見れば見るほど似てきた」
と漏らす。
翌日、学校で樋口一葉の話をするカツオだったが、なんと中島も花沢も樋口一葉について知らない。中島にはハナから期待していないのだが、花沢が知らないというのは少々無理があるのではないだろうか。なんせ不動産屋の娘であり、経営者的な視点を親から学んでいるであろう。紙幣を見る回数は多いはずだ。絶対に知っていると思っていたので、こちらはかなりショックである。
ここで早川登場。なんと、早川は樋口一葉を知っていた。カツオと早川の間に、「樋口一葉」という共通の話題が生まれる。
本屋で樋口一葉の著書「たけくらべ」を購入するカツオ。偶然早川と会い、「読み終わったら貸してね」と約束を交わす。あーあ、素敵だなぁ。憂鬱な日曜の夜にこんなナイスなやりとりを見せられたら現実の無情さが際だってしんどくなっちゃうなぁ。
さっそく家で読み始めるカツオであったが、なんと中身は漢字だらけ。タイトルがひらがなであったただけに油断していたカツオはすっかり狼狽。早川から
「あの本は文語体で書かれてるみたい」
と電話を受け、
「やっぱ中学生になったら貸してね」
と約束は雑に延長される。
樋口一葉に興味を失ったカツオは、「たけくらべ」を家族に転売しようと試みる。当然、誰も買わない。
しかしそこにノリスケ登場。タイコが樋口一葉を好きなため、定価で買ってやると言う。しかも、釣りは要らないと一言。ノリスケのこういう所がカッコイイのだ。
ワカメ、「お金返してよ」と一言。どうやらカツオ、５０００円札を崩すのがもったいなく、ワカメから金を借りて「たけくらべ」を購入したようだ。
５０００円札はどこに置いたんだ、と言われ、
「大丈夫。しっかり本に挟んで隠しておいたから……」
と言ったところで、急いで部屋に戻るカツオ。どの本に隠したか忘れたらしい。部屋中の本をあさるが、見つからない。意気消沈カツオ。
しかし翌日、学校にて発見。教科書の中に隠していたようだ。
ノリスケが購入した「たけくらべ」は、なんとイクラのおもちゃになってしまっていた。小さいサイズの本であったため、すっかり気に入っているご様子。
「イクラちゃんのおもちゃになるなんて、かわいそうな樋口一葉～」
と、樋口一葉がオチに使われて話が終わる。
楽しい通学路
「通学路で１話を！？」
と思わずびっくりである。そして見事に、ずっと通学路の話であった。サザエさんの脚本とは、一体どんなプロセスで制作されているのであろうか。
学校に遅刻しそうになり、慌てて家を出るワカメ。カバンからプリントを落とし、偶然通りかかった伊佐坂先生の娘さん「ウキエ」（女子高生）に拾って貰う。「ありがとうございます」とお辞儀をしたワカメだったが、ランドセルが開いており中の教科書が散乱してしまう。こんなお決まり展開を令和のゴールデンタイムに放送できるのはサザエさんだけであろう。
散々なワカメであったが、途中までウキエと一緒に登校できて随分と楽しかったようだ。
翌朝、わざと遅く支度をしてウキエと合流するワカメ。もう毎日ウキエと朝の時間を共にするつもりである。
この「ワカメがウキエと一緒にいる」という話は偶然通りかかった花沢経由で一瞬にしてカツオと中島に伝わる。こんな町で、私は絶対に生きていけない。
その日の帰りも、ワカメはウキエと一緒であった。ウキエは偶然テスト期間で、早く学校を出れたのだそうだ。その様子を今度は三河屋のサブローが目撃。カツオと中島に報告する。こんなのディストピアじゃないか。
「いいなあ。ぼくもウキエさんといっしょに……」
と妄想を膨らませる女好き中島。このレポートを初めて一番印象が変わったキャラが彼である。こんな男だったか。
家に着いたカツオ。どうやら不機嫌なご様子。なんと、ワカメは図書館でウキエと一緒に勉強をするらしい。ここまで行動を共にされると、ウキエも迷惑でないのか。いや、絶対に迷惑なはずである。
急いでカツオも図書館へ。途中で花沢に遭遇し、「似合わないじゃない」と直接的な悪口を言われるがお構いなしであった。しかし、ワカメは１人で道を歩いていた。話によれば、図書館にウキエの友人がいたため一緒にテスト勉強をすることにしたそうだ。やっぱりワカメと一緒はダルかったか。
帰り道、カツオはワカメの口からから、ウキエに教わった事を自慢げに話される。
「危ないから道路の端を渡らなきゃ駄目」
「アジサイの色が違うのはどうしてか分かる？ （カツオが適当な答えを言う）……違いまーす！」
と、なかなか堪忍袋がむず痒くなるムーブを見せる。ワカメにはこういうところがある。昔っから……。
翌朝、今度はカツオが家を遅く出る。しかしウキエは既にワカメと約束を交わしており、既に一緒に出て行ってしまっていた。代わりにカツオの前に現れたのは、浪人生・ジンロク。
「予備校に行くんだけど、途中まで一緒に行かないかい？」
と、そんな訳ないだろうというような提案をする。カツオはさっさと断る。ウキエに迷惑をかけていないかとフネから注意をうけ、ワカメも反省したようだ。
翌朝、再びウキエを待ち伏せするカツオ。ワカメがしでかした、お辞儀をしてランドセルの中身をぶちまける作戦を決行しようと企むが、ウキエに向かってお辞儀をした瞬間、彼女は忘れ物を取りに家に戻ってしまう。
誰に見られることもなく地面に散乱した教科書を見て、カツオは一気に老け込んでしまった。
ママの歯医者さん
タラちゃんの素直さがかえって磯野家を苦しめる回である。
サザエ、歯が痛いと嘘をつき、歯医者に行くフリをしてマスオと映画を見に行く。他の家族もその嘘に協力。どうやらタラオを夫婦から引き離すための家族ぐるみの画策のようだ。映画館に行くとなったら無理もない。サザエ・マスオペアも、たまには二人きりの時間が欲しいようだ。
サザエを心配し、門の前で待つタラオ。私は彼のこういう所が怖くて仕方が無いのだ。そこに丁度サブローが通りかかる（本日２度目）。
タラオから歯医者の話を聞き、
「今日は休日だし、休みじゃないかな」
と余計なことを言う。もし
「きっと休みの日にやってる歯医者さんだ」
というカツオのフォローがなかったらどうなっていたのか……。想像しただけで悪寒がする。
家に帰ってきたサザエ・マスオペア。2人とも、タラオを無駄に心配させてしまったことに申し訳なさを感じているようだ。
別の日、学校で歯科検診があったということで、タラオの歯の検診の話題になる。
「タラちゃんも歯医者さんに検診にいってみない？」
「いくでーす！」
嫌な予感がする。案の定、「この前サザエが行った歯医者さんに行きたい」と主張するタラオ。サザエ、ピンチ！
普段と同じ歯医者に行ってしまっては、つじつまが合わない。嘘がバレてはいけないのだ。偶然、隣の家のおばさまから駅前に良い歯医者があると教えられそこに向かうが、サザエは「この前行ってきた」設定なので道にも迷えない。
なんとか歯医者に到着。タラオの診察が始まったが、サザエがタラオに「あーん」と口を開けて見せた際に、医師がサザエの口内に虫歯を発見。万事休す！ サザエの治療が始まった。
「ママ、また虫歯ができたですか」
と心配するタラオ。帰宅後、サザエも家族も嘘をつくのに耐えかね、いよいよタラオに真実をバラす。
タラオ、泣きわめくと思いきや、
「ママの虫歯が１回で良かったですー！」
と喜ぶ。私は本当に、彼のこういう所が恐ろしくてたまらないのだ。泣きわめいてテレビでも壊した方がまだ私の中で合点がいくというものだ。
じゃんけん
グーで勝利しました。
