サザエさんレポート 2023年7月2日放送分

重要。サザエさんレポート。

いささか主観が混じっております。ご了承ください。

 

ミス母さん


 もはや悪口とも言えるタイトルである。これは決して「ミス東大」のように使われる「女性代表!」という意味での「ミス」ではなく、「失敗」という意味の「ミス」である。日本語に直すと「失敗母さん」という、人間味など微塵もない禍々しい文字列が誕生する。こんな冷酷なタイトルを日曜の晩飯時に出して良いのだろうか。

 


 しかし、珍しいフネ主役回である。普段スポットライトの当たることのないフネは、我々をどう楽しませてくれるのだろうか。

 


 タイトルの通り、フネがミスをする回であった。道案内をしたら教える家を間違えたり、自分も迷ってしまい見知らぬ団地の公衆電話から家に電話をかけたりする。しかも、その様子を街の監視カメラ・サブちゃんに目撃され、その情報をワカメに流されたりする。せっかくの主役なのに不憫である。

 


 しかしフネは信頼されている。「母さんはミスなんてしない」というドクターXばりのイメージが磯野家で共有されており、今回のフネの失敗を知っているサザエはワカメに向かって真っ向否定。「母さんがミスなんてするわけないでしょ」と、パワハラじみた論理を展開する。フネをかばいたいのかそれとも迷惑をかけたいのか分からない。

 


 今回のフネは失敗続きである。波平の財布に金を入れておくのを忘れ、波平はビアホールに行く機会を逃す。波平のフネへの頼りっきりっぷりにも驚くが、波平がキャッシュレス決済の手段を一つも持ち合わせていないことにも驚きである。現代なら「じゃあクレカ支払いで……」と切り替えられるのに、波平の日々にその選択肢はないのだ。サザエさんの時代設定はハッキリしない。混沌とした時空の迷宮が出来上がっている。

 


 フネがミスをしでかしても、磯野家は決して責めることない。人生をかけて築いた盤石な信頼は、そう簡単には崩れないのだ。フネのお茶目な姿が見れて、全体的にギャップ萌えな回であった。

 

 

姉さんのばかもん!


 なんだこのタイトルは。原点回帰感がある。熱狂的なサザエさんファンであれば興奮を隠しきれないであろう。

 


 タイトルの通り、サザエがばかもんなのであった。宿題を終えていないカツオの代わりに野球に参加し、よその家のガラスを割ったサザエ。波平に説教を受ける。しかし、波平は別の回でうっかり座礁した経験があることを私はしかと覚えている。あまり人のことは言えないぞ、波平くん。

 


 サザエ、「自分にも波平のような威厳が欲しい」と思い立つ。理由は、カツオになめられているからだ。だが、磯野家で一番「威厳」に満ちていたのはフネであった。波平がまた、財布にお金を入れておくよう頼んでいたのである。どうやら今月は飲みにいくことが増えてしまい、もう手持ちがないようだ。

 


「今回だけですよ」

 


と、許可するフネ。波平は頭を下げる。なんと、またフネにスポットライトが当たる。今週は凄いぞ。フネ推しは鼻血を出しているのではないか。 威厳を持つために試行錯誤するサザエ。着物を着たりするが、外でチェーンソーじいさんに遭遇。「威厳なんて無理して出さなくても、歳をとれば勝手に出る」

 


と、随分と説得力に満ちた助言をする。

 


 悩んだサザエであったが、結局公園でカツオを「ばっかもーん!」と叱りつけた際にご近所中にその声が響き渡り、恥じらいを持ったカツオはサザエの説教を素直に聞き入れるようになったのであった。

 

 

嵐を呼ぶお中元

 磯野家にお中元が届く季節になった。

 


 食卓にて、

 


「お中元ってなーに?」

 


とワカメ。

 


「日頃お世話になっている人に感謝の気持ちを贈るんだよ」

 


とフネ。

 


「じゃあお父さん(波平)は沢山の人に感謝されているんだねぇ」

 


とワカメ。

 


「パパ(マスオ)にはお中元とどかないですか」とタラオ。

 


「マスオって一体……」

 


という流れで、マスオに矛先が向く。

 


「パパはまだお世話になる立場だからねぇ。貰うより贈ることが多いかなぁ」

 


と弁明するも、タラオはいささか心配な様子。もしかしたらパパは会社で酷い扱いを受けているのかもしれない、そんな想像を膨らますことくらいタラオの知能では容易なはずだ。


 このままでは父親の威厳に関わる。そう危惧したサザエは、自らマスオ宛にお中元を贈ることを決める。お中元自作自演作戦である。余計に空しいではないか。

 


 かおりちゃんの家に遊びに行ったタラオであったが、出されたおやつは水ようかん。

 


「沢山食べていいわよ。パパがお中元で貰ったの」

 


というかおりの一言が、タラオのプライドを傷つけた。結局水ようかんは食べず、家に持って帰りマスオへのお中元としてプレゼントした。タラちゃんは良い子ねぇ、というエピソードなのかもしれないが、頑なに食べないタラオの横で1人で水ようかんを食したかおりちゃんの心境を考えると、安易にほっこりエピソードで終わらせてはいけない。


 マスオ宛のお中元が届いた。が、2つ。1つはサザエによる自作自演お中元で、中身はクッキーであった。もう1つは知らない人の名前が書かれている。一体誰だろうか。この疑問は、カツオの余計な一言によって

 


「マスオが浮気をしているのではないか」

 


という夫婦喧嘩にまで進展する。

 


 その時、丁度出張から帰ってきた波平。なんと、送り主は偽名を使った波平なのであった。マスオにお中元が1つも届かないので、波平がビールジョッキをプレゼントしたのだ。

 


 これにて一件落着。ちゃっかり自分用に同じジョッキを買っていた波平と共に、晩酌を楽しむマスオなのであった。しかし、根本にある「マスオにお中元が届かない」という問題は解決していない。まだまだ若手なマスオに幸あれ。

 

じゃんけん

パーであいこでした。

 

 



タイトルとURLをコピーしました