最近になって気づいたことなのですが、自分は「食べてストレス発散するタイプ」でした。なにかを口にしている時は、あらゆるわずらわしい物事を完っペキに忘れることができるのです。それはまさに仏道における悟りの境地。きびしい絶食をして現世の憂いから脱する修行僧もいれば、逆に暴飲暴食にハンドルを切って現世の憂いから脱する人間もいるのです。僕は後者寄りでした。
後者「寄り」と表現したのは、食べてストレス発散をするとはいえ、僕はドカ食いをするタイプではないからです。大食いができるほど胃は大きくありませんし、満腹になったらすぐに箸がとまる胃袋弱者です。ドカ食いをして血糖値ぶちあがりの勢いで気絶する「ドカ食い気絶部」なる猛者たちも存在しますから、それを考えると、ひかえめな僕はあくまで後者「寄り」の人間なのです。
自分が「食べてストレスを発散するタイプ」だと気づいたのは、高校3年の受験期のことでした。家で一人で勉強している時に、常になにかしらを口にしている自分に気づいて「食い過ぎじゃねえ!?」と驚いたのがきっかけでした。
当時僕がよく食べていたのが、ポテトチップスやチョコレート、煎餅。いわゆるお菓子たちです。それがなければ、冷蔵庫にあるハムやチクワ、インスタントラーメンを食べていました。むさぼり食う、という表現が似合うかんじです。問題演習をしていて分からない箇所が出てくると、一旦思考がストップしてしまって「こりゃ食わないかん」と部屋を出るのです。なにかを食べたことで問題が解けるようになった経験は一度もないのですが、あらゆる望みを食いモンに託してしまうのです。
だって、そりゃあそうでしょう。さっきまでワケの分からぬ問題に頭を抱えていたにもかかわらず、なにか美味しいものを食べた瞬間に「ウマっ!!」と脳みそが多幸感に包まれるんです。こんな気軽なリフレッシュないわけです。依存性アリ。
食い物と共に走った受験戦争は幕を閉じ、無事大学に進学して一人暮らしを始めると、そもそも部屋に食い物がありません。自分で買わないかぎり冷蔵庫は閑散としたまんま。ですが大学生風情ゆえ財力も乏しく、買い出しもおっくう。
ですが、有難いことに実家から送られてくる米が常備されているので、大学に入ってから米を多めに食べるようになりました。卵かけご飯は最強です。ヤツは全知全能です。
しかーし!
やっぱりめんどくさいわけです。米を炊くのって面倒なんです。我々の祖先はよく「米を主食にするでゴンス」などと決断したもんです。あんなに食べるまでに時間と手間のかかるものを。昔は早炊きボタンもなかったわけでしょう? いやぁ、アッパレアッパレ。もし僕だったら手を伸ばせば掴めるそのへんの雑草とかを食ってましたよ。んで毒にやられてぶっ倒れるんですよ。日本史序盤にして家系図ストップ。
めんどくさがりなんです。米を炊くのにも腰が重いのです。あと、普通に食い過ぎたら太るし。
ここで、この文章を読んでくださっているアナタに質問です。
ストレス発散専用の食べ物、欲しくないですか?
カロリーも少なく、安価で、たくさんあって、なにか口に入れたくなった時にパッと食べる用の食べ物です。
部屋の机の横に、キャンディマシーンみたいなでっかい装置を置くわけです。透明なケースの中には「ストレス発散専用食品」がぎっしり詰まっていて、レバーを回すとコロコロッと一つ出てくるのです。
それをそのまま食べてもいいし、チョコペンでうらみつらみを表面に書いてからグアシッと噛んじゃっても良いのです。「月曜なくなれ!」や「数学はもう人類から飽きられろ!」なんて書かれたやつを勢いよく噛みちぎるなんて、なんとも気持ちよさそうじゃないですか。嫌いな人の顔を思い浮かべて食べるのも、もちろんOK。いいですねぇ。そのままレントゲンを撮ったら「参りました」なんて文字が胃に浮かび上がる機能とかつけたら最高じゃないですか。GABAも限界量入れちゃいましょう。
食感はやはり、かたい方がいいですよね。僕は噛みごたえを求めます。ストレス発散専用食品ですから。そして味は、甘いのがいいな。脳が疲れている時はやはり、甘い物を食べたくなることが多いですからね。
例えば、タフグミみたいな感じですかね。
……これもうタフグミでいいですね。
買ってきました。
現時点でこれは、最も「ストレス発散専用食品」に近い食べ物です。皆さんも、ぜひ。明日は、イライラしたらこれを食べる。そんな1日でいいんじゃないですか。
では、また次回。